恵灌(読み)えかん

朝日日本歴史人物事典 「恵灌」の解説

恵灌

生年生没年不詳
7世紀の高句麗の僧。恵観,慧灌とも書く。隋に行き嘉祥大師吉蔵に三論宗を学んだ。推古33(625)年,高句麗国王に推挙されて来日し,勅により元興寺(奈良県明日香村の飛鳥寺)に止住し,三論宗を伝えた。僧正補任時に2説ある。ひとつは推古朝(593~628)説で,『元亨釈書』には来日した年の夏に旱魃があり,三論を講じて祈雨し雨を降らせた功によるという。他は孝徳朝(645~54)説で,これは『三国仏法伝通縁起』『東大寺要録』に基づいており,天皇に三輪を講じ,講説が終わった日に僧正に任じられたとする東大寺に伝わる伝説である。また井上寺を創めたとか,禅林寺(奈良県当麻町の当麻寺)の落慶導師を勤めたとされる。吉蔵の三論宗を伝えたという意味で,日本における三論宗の第一伝といわれる。

(松木裕美)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「恵灌」の解説

恵灌 えかん

?-? 高句麗(こうくり)(朝鮮)の僧。
隋(ずい)(中国)にいき嘉祥寺の吉蔵に三論をまなぶ。推古天皇33年(625)高句麗王の命をうけて来日。大和(奈良県)元興(がんごう)寺にはいり僧正となる。日本にはじめて三論宗をつたえた。のち河内(かわち)(大阪府)に井上(いかみ)寺を創建したという。慧灌,恵観ともかく。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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