愛知立てこもり事件(読み)あいちたてこもりじけん

知恵蔵 「愛知立てこもり事件」の解説

愛知立てこもり事件

2007年5月、愛知県長久手町の元暴力団組員の男が拳銃を持ち、元妻を人質にして自宅に立てこもった。人質はすきを見て逃げ出し、男は29時間後に投降して逮捕された。家族間のトラブルが動機とみられる。通報で駆け付けた愛知署長久手交番巡査部長が撃たれて重傷を負い、救出のために近くで待機していた愛知県警特殊部隊(SAT)隊員の巡査部長が射殺された。交番の巡査部長救出までに5時間も要し、殉職者を出したことに警察の内外から、愛知県警の対応を問題視する意見が相次いだ。SAT隊員の殉職は、1977年の日本赤軍によるダッカ事件契機にSATが設置されて以来初めてだ。「犯人制圧」を任務とするSATと事件捜査をする他部隊との情報共有が不十分とみた警察庁は、SATを支援し、総指揮を執る警察本部長に助言するチームの新設を決めた。

(緒方健二 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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