内科学 第10版 「感染症サーベイランス」の解説
感染症サーベイランス (感染症総論)
感染症に対する対策を立てるためには,疫学が必要である.すなわち,罹患率(一定期間内に単位人口あたり新たに発生した患者数)や有病率(ある時点における単位人口あたりの患者数)がなければ,対策の効果を評価することができない.罹患率や有病率を推定するのは,実際にはそれほど簡単なことではない.全国的な調査をするためにはインフラが必要だし,無症候感染者や潜伏期中の患者もある. 感染症サーベイランスは,「感染症の制御や予防対策に用いる目的で,感染症の発生状況やその推移を系統的,継続的に収集し,分析すること」とされる.わが国では,平成11(1999)年4月から施行された『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』(感染症法)により,感染症サーベイランスが法的に規定された.国立感染症研究所・感染症情報センターのホームページからさまざまな情報がインターネットを通じて検索できる(http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html).世界的なサーベイランス情報は,世界保健機関(WHO)のホームページ(http://www.who.int/en/)や米国疾病管理予防センター(CDC)のホームページ(http://www.cdc.gov/)やCDCの週報であるMorbidity Mortality Weekly Report (MMWR)などを参照するとよい.[岩本愛𠮷]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報