憂ふ(読み)ウレウ

デジタル大辞泉 「憂ふ」の意味・読み・例文・類語

うれ・う〔うれふ〕【憂ふ/愁ふ/患ふ】

[動ハ上二]
憂える1」に同じ。
渡らひ心(=生計ヲ立テル意志)なかりけり。父、これを―・ひつつ思ふは」〈読・雨月蛇性の婬〉
憂える3」に同じ。
「旅の空にこのやまひを―・ひ給ふは」〈読・雨月菊花の約〉
[動ハ下二]うれえる」の文語形
[補説]は中世以降の用法連用形「うれえ」が「うれい」に音変化し、その結果上二段化したものと考えられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「憂ふ」の意味・読み・例文・類語

うれ・ううれふ【憂・愁・患】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙うれえる(憂)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行上二段活用 〙 心を痛める。思いなやむ。心配する。
    1. [初出の実例]「日夜無間く憂礼比念ほし熱かひ御坐す」(出典:日本三代実録‐貞観八年(866)九月二二日)
    2. 「愁ひつつ岡にのぼれば花いばら」(出典:俳諧・蕪村句集(1784)夏)

憂ふの語誌

上代にかな書きの用例がなく、古い訓点資料はほとんど「うれへ」である。また、挙例の「三代実録」は、この語を四段活用とも見る際の例証とされるが、古写本にはないので江戸時代の版本の誤りかとされている。下二段活用が古い形で、その「うれへ」が音変化で「うれひ」となり、結果的に上二段活用となったとも見られる。

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