憂える(読み)ウレエル

デジタル大辞泉 「憂える」の意味・読み・例文・類語

うれ・える〔うれへる〕【憂える/愁える/患える】

[動ア下一][文]うれ・ふ[ハ下二]
よくないことになるのではないかと心配する。心を痛める。また、嘆き悲しむ。「日本将来を―・える」
心の苦しみを人に訴える。自分の嘆きを人に告げる。
春秋の暮らしがたさなども、誰にかは―・へ給はむと」〈蓬生
病に苦しむ。患う。
「この人、昔は身の病を―・へき」〈今昔・七・二五〉
[類語]悲しむかこたんずる悲嘆する愁嘆する痛嘆する嗟嘆さたんする嘆息する長嘆する案じる恐れる心配嘆く気にする気にかける気を気に病む胸を痛める危惧きぐする危懼きくする懸念する気づかう

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精選版 日本国語大辞典 「憂える」の意味・読み・例文・類語

うれ・えるうれへる【憂・愁・患】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]うれ・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 不満や苦しみ、悲しみなどを人に嘆き告げる。事情を訴えて願う。愁訴する。嘆願する。
    1. [初出の実例]「片恋は苦しきものとみごもりの神にうれへて知らせてしがな」(出典:古今和歌六帖(976‐987頃)四)
    2. 「宿直所(とのゐどころ)ゆづり給ひてんやと中将にうれへ給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
  3. 心をいためる。心をなやます。
    1. (イ) 困った状態であることを悲しみ嘆く。つらく思う。
      1. [初出の実例]「他心を安慰して、憂(ウレヘ)(おそ)るることを離るるが故に」(出典:大乗阿毗達磨雑集論平安初期点(800頃)一二)
    2. (ロ) よくない事態になりはしないかと心配する。気づかう。
      1. [初出の実例]「悦を以て民を使ひたまはば、水火に憚(よ)らず、国の難(わさはひ)を恤(ウレヘ)む」(出典:日本書紀(720)敏達一二年一〇月(前田本訓))
      2. 「今の学者は政府を咎めずして衆論の非を憂ふべきなり」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉二)
  4. 病気にかかる。わずらう。
    1. [初出の実例]「或は眼を痛み〈略〉或は肩膊を痛むことを患(ウレヘ)む」(出典:不空羂索神呪心経寛徳二年点(1045))

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