菊花(読み)きっか

精選版 日本国語大辞典 「菊花」の意味・読み・例文・類語

きっ‐か キククヮ【菊花】

〘名〙
① 菊の花。《季・秋》
経国集(827)一三・九日翫菊花篇〈嵯峨天皇〉「登高遠望坐花院。翫菊花菊花黄」
※基督信徒の慰(1893)〈内村鑑三〉一「其菊花(キククヮ)香しき頃」
薫物(たきもの)の名。六種(むくさ)の薫物の一つ。菊の花の香に似せて、沈香丁子香麝香(じゃこう)などを練り合わせたもの。
※砌塵抄(1455頃)「きっくゎ、黒方など皆たき物名なり」
中世、薬の名。
※経覚私要鈔‐文安五年(1448)九月九日「早旦服菊花。不老不死仙薬也」

きく‐の‐はな【菊花】

[1] 〘名〙
① キク科植物の花の総称。《季・秋》
類聚国史‐七五・曲宴・延暦一六年(797)一〇月癸亥「酒酣皇帝歌曰、このころのしぐれの雨に菊乃波奈ちりぞしぬべきあたらその香を」
※俳諧・文政句帖‐五年(1822)八月「元気也上家をもたぬ菊の花」
※仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三「菊川は坂の下なり。河上は菊が淵と名づく。菊のはなありといふ」
[2] 狂言和泉流。無断で京都見物した太郎冠者が、菊の花の歌をよんで上臈(じょうろう)にほめられ、酒宴に誘われたが結局失敗した話を主人に語り、叱られる。大蔵流では、「茫々頭(ぼうぼうがしら)」。

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デジタル大辞泉 「菊花」の意味・読み・例文・類語

きく‐か〔‐クワ〕【菊花】

菊の花。 秋》
薫物たきものの名。菊の花の香を模したもの。丁字香ちょうじこう沈香じんこう麝香じゃこうをねり合わせてつくる。菊の露。
[類語]草花生花生け花切り花盛り花押し花造花ドライフラワー花束ブーケ花輪レイ徒花あだばな無駄花初花国花県花名花梅花桜花綿花菜の花落花

きっ‐か〔キククワ〕【菊花】

きくか(菊花)

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普及版 字通 「菊花」の読み・字形・画数・意味

【菊花】きくか(くわ)

菊の花。唐・杜甫〔復た愁ふ、十二首、十〕詩 (つね)に恨む、陶彭澤(はうたく)(淵明) 錢無くして(九月の)に對せしを

字通「菊」の項目を見る

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「菊花」の解説

きくか【菊花】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。キク科キク頭状花序(とうじょうかじょ)を乾燥させたもの。解熱消炎解毒抗菌血圧降下などの作用がある。高血圧の諸症状をともなう慢性の頭痛に効く釣藤散(ちょうとうさん)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「菊花」の解説

菊花 (キク)

植物。キク科キク属の草の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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