国指定史跡ガイド 「戌立石器時代住居跡」の解説
いんだてせっきじだいじゅうきょあと【戌立石器時代住居跡】
長野県東御(とうみ)市滋野乙にある縄文時代中期~後期の住居跡。西沢川と大石沢川に挟まれた標高770mの丘陵地の上に位置し、一帯は日尻(ひじり)沢の谷口にあたる扇状地で、南面の緩傾斜面で日当たりがよく、乾燥地だが、近くの川から生活水を得やすいため居住に適していた。1930年(昭和5)の小規模発掘で、敷石のある竪穴(たてあな)住居跡や炉跡のほか、獣骨片や土器類、磨製石斧(せきふ)、石鏃(せきぞく)など多数の出土品が発見され、1933年(昭和8)、国の指定史跡となった。この時、遺跡の破壊を防ぐために復元家屋が建てられ、日本で最初のものといわれたが、落雷によって焼失した。その後、1983(昭和58)~1984年(昭和59)の範囲確認調査により、それまで史跡(約435m2)とされていた石器時代住居跡を中心とする大集落跡であることが判明した。現在の家屋は、1988年(昭和63)に再度復元されたものである。しなの鉄道滋野駅から徒歩約40分。