成長ホルモン抑制因子(読み)せいちょうほるもんよくせいいんし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「成長ホルモン抑制因子」の意味・わかりやすい解説

成長ホルモン抑制因子
せいちょうほるもんよくせいいんし

下垂体前葉ホルモンの一つである成長ホルモン分泌を抑制する物質。SRIF(somatotropin release inhibiting factorの略)と表記される。化学物質名はソマトスタチンsomatostatinという。アミノ酸塩基14個からなるペプチドで、脳の視床下部に存在し、下垂体門脈中に放出され、前葉の成長ホルモン分泌細胞に作用し、分泌を抑制する。ソマトスタチンは、脳内に広く存在するだけでなく、膵臓(すいぞう)や消化器にも存在している。膵臓では、インスリングルカゴンの分泌を抑制し、消化器では各種の消化管ホルモンの分泌を抑制する。

 なお、成長ホルモン抑制因子とは逆に、成長ホルモンの分泌を促進する放出因子が脳内に存在する。この成長ホルモン放出因子は、GHRF(growth hormone releasing factorの略)、GHRH(growth hormone releasing hormoneの略)と表記される。ヒトの成長ホルモン放出因子は、44個のアミノ酸からなり、成長ホルモン分泌細胞に作用し、成長ホルモンの分泌ならびに合成も促進する。

[高橋純夫]

『鎮目和夫編著『成長ホルモンとその関連ペプチド』(1992・朝倉書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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