戦時刑事特別法(読み)せんじけいじとくべつほう

百科事典マイペディア 「戦時刑事特別法」の意味・わかりやすい解説

戦時刑事特別法【せんじけいじとくべつほう】

太平洋戦争に際し刑法・刑事訴訟法特例を定めた法律(1942年)。灯火管制中や敵襲の危険のある場合などの放火・強姦(ごうかん)・強窃盗,国政変乱目的の殺人,防空公務員に対する公務執行妨害などの刑を加重し,生活必需品の買占め・売惜みなどの罪を設け,訴訟手続にも特例を定めた。1945年廃止。

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世界大百科事典(旧版)内の戦時刑事特別法の言及

【太平洋戦争】より

…そして8月6日広島,9日長崎への原子爆弾投下,8日の対日宣戦布告と9日からのソ連対日参戦を経て日本は14日にポツダム宣言を受諾して降伏し,9月2日に降伏文書に調印した。
【戦時体制と社会状況】

[天皇制ファシズムの確立と崩壊]
 すでに1940年10月12日に大政翼賛会が結成され,天皇制ファシズムが体制として成立していたが,東条内閣は太平洋戦争開戦後に言論・出版・集会・結社等臨時取締法(1941年12月19日公布)や戦時刑事特別法(1942年2月24日公布)などを制定して弾圧を強め,緒戦の勝利を利用して42年4月30日に翼賛選挙を実施した。5月20日貴衆両院議員の大半を網羅した翼賛政治会が結成され,いわゆる翼賛議会体制が確立した(翼賛体制)。…

【法制史】より

…42年には,大政翼賛会の末端組織が,町内会・部落会,さらに隣組の組織と結びつくものとされ,国民すべてが戦時体制に組み込まれた。治安立法は,思想犯保護観察法・不穏文書臨時取締(ともに1936公布),国防保安法・改正治安維持法の制定および刑法の改正(いずれも1941公布)により強化され,42年には裁判所構成法戦時特例,戦時民事特別法,戦時刑事特別法の制定により,戦時司法体制が確立した。戦時体制の下で,国民の基本的人権は極度の圧迫を受けた。…

※「戦時刑事特別法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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