日本大百科全書(ニッポニカ) 「扁平苔癬」の意味・わかりやすい解説
扁平苔癬
へんぺいたいせん
四肢関節の屈側、体幹、外陰部などに、淡紅色ないし紫紅色のぶどう酒様の色調で、帽針頭大からエンドウ大までの多角形状扁平隆起性の皮疹(ひしん)が、散在性ないし集簇(しゅうぞく)(密集)性に存在する皮膚疾患。ときに帯状に配列したり、融合した局面を形成することもある。通常はかゆみを伴う。20歳前後に好発し、女性にやや多い。また粘膜、とくに口腔(こうくう)内にも出現し、その場合は浸潤性の白斑(はくはん)として認められる。病因は諸説あって不定であるが、最近は薬剤、たとえば降圧剤、脳代謝促進剤、カラーフィルム現像液などによるものが多い。臨床的には、線状扁平苔癬、いぼ状扁平苔癬、鈍性扁平苔癬、水疱(すいほう)性扁平苔癬、急性扁平苔癬、色素性扁平苔癬などの特殊型を区別する場合もある。組織学的に特徴のある所見を有し、確定診断は皮膚生検による。治療は、ステロイド系外用剤によく反応することが多い。治癒後に色素沈着または色素脱失を残すこともある。
[大路昌孝]