手まり(鞠)(読み)てまり

百科事典マイペディア 「手まり(鞠)」の意味・わかりやすい解説

手まり(鞠)【てまり】

糸を巻いて作ったまり。それを使ったまりつき,まり遊びのこと。今日のようにまりを手で地面につくようになったのはずっと後のことで,初めは蹴鞠(けまり)と同じように,まりを空中につき上げていたらしい。つまり,蹴鞠の足の代りに手でつき上げたのが手まりの始まりだというのである。その理由は,地面について跳ね返ってくるほどの弾みのあるまりを作るのは困難であったため,という。江戸時代になると綿糸を巻いてよく弾むまりが登場するようになり,今日のようなまりつき遊びが可能になった。まりをつきながら歌う手まり歌が流行するようになり,もっぱら女の子の遊びとなる。まりの作り方は,ゼンマイの綿やおが屑を芯(しん)に,綿糸を固く巻きつけたものが多く,芯に鈴や繭(まゆ)をいれて音がでるものや,表面を色とりどりの絹糸で巻いた装飾まり(御殿まり,とも)など次第に多様化していった。ゴムまりが普及するのは明治10年代以降のことで,まりつき遊びの種類も技術も時代とともに豊富になり,高度化した。

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