日本大百科全書(ニッポニカ) 「投資事業有限責任組合法」の意味・わかりやすい解説
投資事業有限責任組合法
とうしじぎょうゆうげんせきにんくみあいほう
事業への投資基金出資者を保護し、基金設立を促すための法律。正式名称は「投資事業有限責任組合契約に関する法律」。平成10年法律第90号。通称「ファンド法」。公布時は「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」という名称であったが、2006年(平成18)産業活性化策の一環として改正され、現名称となった。かつて投資基金(投資事業組合)は、運営が破綻(はたん)すると出資者全員が無限責任を負うことになり、個人投資家が出資する際の足かせになっていた。その制約を除くため1998年に同法が定められ、ベンチャー企業を対象に出資する場合の個人投資家の責任は出資額以下(有限責任)にとどめることとされた。その後さらに証券取引法(現在の金融商品取引法)上の投資家保護ルールを導入し、投資手法も自由化するために改正法が施行された。その結果、だれでも自由にファンドの組合員になれ、また社債やコマーシャルペーパー(CP)ほか、多種多様な有価証券や信託受益権などを取得できるようになった。さらに、投資組合への出資に特化したファンドを自由につくることもできるようになった。
[原 正輝]