コマーシャルペーパー(読み)こまーしゃるぺーぱー(英語表記)commercial paper

翻訳|commercial paper

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コマーシャルペーパー」の意味・わかりやすい解説

コマーシャルペーパー
こまーしゃるぺーぱー
commercial paper

企業が短期資金を調達する目的で発行する無担保約束手形で、「金融商品取引法」上の有価証券に位置づけられる。略称CP

 アメリカでは1920年代から一般化していたが、日本においては1987年(昭和62)11月から発行が認められた。当初は一般事業会社にのみ利用可能(金融機関の発行は不可)であったが、1988年以降発行主体の解禁が進み(1988年12月に証券金融会社、1990年1月に証券会社、1993年6月にノンバンク、1994年4月に保険会社で解禁)、1998年(平成10)6月の発行規制撤廃以降は、銀行によるCP発行も可能となった。この規制撤廃により、CPの期間や発行額についても自由化が進み、発行企業にとっての利便性が一段と向上した。

 無担保であることから、CP発行は優良企業に限られるが、今日では銀行借入れにかわる大企業の有力な短期資金調達手段として定着している。この結果、短期金融市場商品としても、CD(譲渡性預金)とともに中核的な地位を確立している。発行残高の拡大に伴い、日本銀行もCPオペレーション(公開市場操作)の活用を図るなど、金融政策の有力な手段として用いられるようになっている。なお、2002年4月施行の「短期社債振替法」(現「社債、株式等振替法」)により、CPのペーパーレス化が実現した。

[高橋 元]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コマーシャルペーパー」の意味・わかりやすい解説

コマーシャル・ペーパー
commercial paper; CP

割引方式で発行される自由金利の無担保の約束手形。企業や金融機関の短期資金調達手段の一つ。コマーシャル・ペーパー市場は日本銀行による市場操作手段の一つにもなっている。発行できるのは一定の信用力を有する企業であり,額面は 1億円以上,発行期間は 1年未満。日本では 1987年に発行が解禁され,1992年の証券取引法改正(→金融商品取引法)に伴う省令によって,新たに証券取引法上の有価証券に加えられた。販売相手は機関投資家にかぎられている。解禁以降,発行に際しては,銀行と証券会社を販売人(ディーラー)とする形態がとられていたが,1998年にディーラーを通さず,発行企業が機関投資家に直接発行するダイレクト発行も認められた。2002年に施行された,短期社債等の振替に関する法律により,コマーシャル・ペーパーのペーパーレス化が導入されて以降,急速に発展した。

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