改訂新版 世界大百科事典 「揚返し」の意味・わかりやすい解説
揚返し (あげかえし)
(1)繰糸機で小枠に巻きとった生糸を枠周1.5mの大枠に巻き返し一定量の綛(かせ)に仕上げる作業rereeling。(2)ボビンに巻かれた撚糸(ねんし)などを一定尺の綛とするため枠に巻き返す作業rewinding。生糸の揚返しは,綛幅,綛周,綛重量をそろえ,束装,荷造り,取扱いを便利にするため,繰糸中に生じた生糸のふしなどを除去するとともに,適度の枠角固着を与えて綛の綾乱れが生じないようにするためなどの目的で行われる。撚糸の揚返しは,精練,染色および製織などの準備作業の一環として,撚糸の際,ボビンに巻きとった糸を定尺の綛に巻き返すために行われる。揚返しを再繰(さいそう)ということがあるが,この語は正しくは綛糸をボビンに巻き返すことをいう。
執筆者:小河原 貞二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報