日本歴史地名大系 「撮要録」の解説
撮要録
さつようろく
四〇巻三九冊
原本 池田家文庫
解説 撮要録三〇巻三〇冊・撮要録後編九巻八冊・凡例大目次首巻一冊からなる。撮要録は藩政初期から文政六年まで、後編は同七年―明治初年の記事を載せる。岡山藩庁の留帳方で郡政の参考資料に編纂されたもので、凡例に留帳方に所蔵する記録・雑書等をみ、事物の起止・由来・基を知る一助となるものを選び、閲覧の便宜上記事の要を撮り部門を分けて編集、撮要録と題したこと、個々の記事は地理の不明確なところや誤り・疑惑も多く校訂が必要であること、一事が複数部門に出るものもあり、典拠部門を漏らさず探索すべきことが注記される。岡山藩地方関係の唯一の類集史料集であり、地誌的性格を備えたものである。全巻を通じ転写された彩色絵図が豊富に挿入されている点も特筆される。編集担当者は一説に、文政年中留帳方であった徳田重助・兵助(のち耕作)親子といわれる。天保七年両者相次いで死去したが、死後重助は留帳方御用年来格別出精、耕作は類外出精し記録類取調方に心を尽し際立った働きにより、褒賞を受けている。
活字本 昭和四〇年刊、底本は岡山市立図書館蔵八丹幸八筆写本。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報