数句(読み)かぞえく

精選版 日本国語大辞典 「数句」の意味・読み・例文・類語

かぞえ‐く かぞへ‥【数句】

〘名〙 (「詩経」の六義(りくぎ)の一つである賦の訳語としての数歌(かぞえうた)を、さらに連歌の句に転用していう語) 一句に多くの意味をこめた句。
※長短抄(1390頃)「賦 かぞへ句 一句に心あまたある也、賦と云ふ字をば配るとも、つくすともよめり、されば余多つくしたる句に、春夏秋に風ぞかはれる と云ふ句に 花の後青葉なりしが紅葉して 一句に三季の心あり、又云ふ身の由来花のちるにも驚かで 此の句無常の心、愛執の心、花の散るとあればつくす心もあり、あまたをこめたり」
[語誌]この語は「長短抄」だけに見られるが、六義の賦の連歌や俳諧への転用は心敬の「ささめごと」や北村季吟の「埋木(うもれぎ)」などにも見え、「長短抄」とはやや相違した見解が述べられている。これは、「古今集仮名序」所出の数歌(かぞえうた)解釈の相違が連歌論や俳論にもそのまま持ちこまれたものである。

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