文室康秀(読み)ふんやのやすひで

朝日日本歴史人物事典 「文室康秀」の解説

文室康秀

生年生没年不詳
9世紀半ばごろの歌人,六歌仙のひとり。姓は「文屋」とも書く。『古今集』『後撰集』に6首伝わるが,うち2首は,子の朝康の作ともされ確実ではない。三河掾,山城大掾,逢殿助 などを歴任したといい,仁明天皇や二条の后藤原高子の周辺にあって,官位にめぐまれぬまま老いてしまう身の不遇を訴える「春の日の光にあたる我なれど頭の雪となるぞわびしき」のような歌が,少ない詠歌の中にも目につく。技巧的ではあるが品格に欠けるところが,「言葉は巧みにて,その様身に負はず」という『古今集』仮名序の評につながると思われる。三河掾として任国に赴くとき小野小町を誘ったことが,小町伝説のなかでのちの世まで語られた。

(内田順子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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