新トマス派(読み)しんトマスは

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新トマス派」の意味・わかりやすい解説

新トマス派
しんトマスは

主として第1次世界大戦後フランス,ドイツ,ベルギーを中心に,近代合理主義の行きづまりを打開するため,トマス・アクィナス哲学に依拠しつつ,それを近代的に発展させようとした学派。歴史的研究の分野では E.ジルソン,M.グラーブマン,哲学,法学,政治学の分野では D.メルシエ,J.マリタンらが代表者。特に法哲学の領域では,新カント主義的法思想や法実証主義を根本的に批判しつつ,新しい自然法論の形成を目指しており,全体としていえば,人間の歴史性に対する深い配慮のもとに,法原理の相対性,可変性を承認しながらも,これらの相対性,可変性の底にあって自己を貫徹する永遠普遍の自然法的原理の存在を主張する。 F.ジェニー,G.ルナール (フランス) ,V.カートライン (ドイツ) ,J.ダバン (ベルギー) ,第2次世界大戦後では H.ロンメン,J.メスナー,A.カウフマン,田中耕太郎らがその代表者である。 (→トミズム )

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