国指定史跡ガイド 「日向国府跡」の解説
ひゅうがこくふあと【日向国府跡】
宮崎県西都(さいと)市右松にある国府跡。県のほぼ中央部、一ツ瀬川が形成した河岸段丘上に位置する古代の官衙(かんが)遺跡。国府の所在地については諸説があったが、有力な推定地の一つであった寺崎遺跡で実施された発掘調査よって、正殿、脇殿、築地塀など、中心建物の一部分が確認され、日向国府跡であることが判明。古代日向国の政治情勢を考えるうえで重要なことから、中心部の約1haが2005年(平成17)に国の史跡に指定された。建物は正殿を北側にして、脇殿を東西に「品」の字状に配するもので、掘立柱建物から礎石建物へと建て替えがみられ、その建物の北・西・南側から築地塀が確認された。これら建物や築地塀は、8世紀末から10世紀前半に造営されたと考えられている。屋根は瓦葺きと推定され、遺物は多量の布目瓦片や土器片が出土し、畿内(きない)系土師器(はじき)や硯、墨書土器など、官衙的様相を示すものが含まれている。東九州自動車道西都ICから車で約10分。