日笠保(読み)ひかさほ

日本歴史地名大系 「日笠保」の解説

日笠保
ひかさほ

現日笠上・日笠下を遺称地とし、史料上に田土たど塩田しおた(現佐伯町)がみえるので、現和気町中央部から佐伯さえき町の吉井川左岸沿いに推定される。文永五年(一二六八)から七年と推定される官中便補地由緒案(壬生家文書)によると、建久八年(一一九七)藤原季景より官務家小槻国宗に寄進され、官御祈願所の便補として地主職を数代相伝したという。嘉禎元年(一二三五)の日笠庄山方請伏物注進状(同文書)には六寸為縄・茅莚六枚・炭一六籠・串柿・薪・漆などがみえ、年未詳の年貢到来物注文(同文書)にはほかに塩・畳・押漬物・薦・松などがみえる。

近江延暦寺の月宛壇供人等の一二月をつとめ(「華頂要略」門主伝補遺建長元年九月七日条)、弘長三年(一二六三)三月二二日の官御祈願所注進状(門葉記)によれば、如意輪法供米月宛の備前国一〇〇石を官御領便補の日笠から進めている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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