昇り猿(読み)のぼりざる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「昇り猿」の意味・わかりやすい解説

昇り猿
のぼりざる

五月節供の、外飾り幟(のぼり)につける玩具(がんぐ)の猿。風が吹くにつれて猿が昇り降りする。これを幟猿といい、1773年(安永2)刊の玩具絵本『江都二色(えどにしき)』(北尾重政(しげまさ)画)にも描かれている。昇り出世を象徴するものとして広く迎えられたが、外飾りが室内飾りに転移するとしだいに衰退し、現在「昇り猿」の名で郷土玩具となっている。宮崎県延岡(のべおか)市産のものは、幟、幣束(へいそく)、鼓を負った張子製の猿で、手を竹竿(ざお)に通し、幟の先端を竿の上部に結ぶ。風で幟が膨らむと猿が竿を昇る。かつて領主有馬(ありま)氏が馬印に猿を用い、勝利を得たことから創案されたという由来があり、またこれを田畑に立て、農作物を荒らす野猿の害を防いだともいう。1968年(昭和43)申(さる)年の年賀切手の図案になった。岡山県倉敷市にも同様のものがある。

[斎藤良輔]

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