朝日日本歴史人物事典 「普一」の解説
普一
鎌倉後期・南北朝期の真言宗南山進流の声明家。覚意の考案した五音博士をもっとも早く用いて,文保2(1318)年8月1日に『魚山集』3巻を書写した。南山進流の現存する声明集としては最古のものになる。また,貞和2/正平1(1346)年8月19日には講式の読み方を示した『音曲式口伝』を記した。延慶2(1309)年8月13日には,因空より朗詠の伝授を受けたという。中世の広範な音楽的教養人の典型と考えられる。
(高橋美都)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報