五音(読み)ごいん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

五音
ごいん

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五音
ごおん

中国,日本の音楽理論用語。 (きゅう) , (ち) , (う) の総称およびこの理論体系をいう。「ごいん」とも読み,本来は,「五声」という。 (1) 中国においては定められた基準の音を宮とし,そこから出発して三分損益 (さんぶんそんえき) を4回行なって得られた音を,1オクターブのなかで高さの順に並べたもの。たとえば,宮をハ音としてここから並べると,ほぼハニホトイとなる。並べ方としては,五声と方位を結びつけ,宮を中央に配するという考え方から,徴から始めることも多い。結局,音程関係のみ示し,音階内での機能は2次的。また,五行説や密教思想とも結びつけられて各音がさまざまの音楽外的意義をもつようになった。戦国時代の文献にみえ,変徴,変宮の加わった七声の理論が導入されたのちも,雅楽においては五音を正声として尊重。この考え方は唐代俗楽の二十八調の理論にも現れている。 (2) 日本では,唐代中国から伝わり,平安時代以後,日本的に変質。 (りょ) ,に関係なく,その第1音を宮と呼び,洋楽の音階にほとんど等しい概念として用いられた。中国の五声に近いものを呂の五音とし,それに対してその角が半音高い日本的な五声を律の五音とする。江戸時代に発達した箏,三味線音楽の音階に対しても,この五音の名称を用いている。

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デジタル大辞泉の解説

ご‐いん〔‐イン|‐ヰン〕【五音/五韻】

(五音)「五声(ごせい)1」に同じ。
五十音図の各行の五つの音。ごおん。
中国音韻学で、喉音(こうおん)顎音(がくおん)舌音(ぜつおん)歯音(しおん)唇音(しんおん)の総称。
声の調子。こわね。
「遠慮なしに膝もとへつつと来いと言ふ―」〈浄・碁盤太平記

ご‐おん【五音】

ごいん(五音)
世阿弥謡(うたい)を曲趣により五つに分類したもの。祝言・幽曲・恋慕哀傷闌曲(らんぎょく)。また、それを記した書。

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世界大百科事典 第2版の解説

ごいん【五音】

日本の伝統的音楽理論用語。五声ともいう。1オクターブの中に設定される五つの音階音,すなわち宮(きゆう),商,角,徴(ち),羽(う)をいう。元来は中国から伝えられた用語が,日本化したもので,5音音階の第1音を調に関係なくつねに宮とし,上に向かって順に商,角……とする。宮とそれ以外の音との音程関係は,商が長2度,徴が完全5度,羽が長6度で,角のみは長3度と完全4度の二様が区別される。長3度の角は(りよ)の調子の場合のもので,また完全4度の角はの場合である。

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大辞林 第三版の解説

ごおん【五音】

ごいん(五音)」に同じ。
世阿弥ぜあみが用いた能の用語。謡うたいの内容による五つの謡い方。祝言・幽曲・恋慕・哀傷・闌曲らんぎよく。また、それを記した書(二巻)。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ご‐いん【五音・五韻ヰン

〘名〙
[一]
① 五行思想から、万物の音を分類した五種の音。すなわち、宮・商・角・徴(ち)・羽のこと。
※悉曇蔵(880)二「由五行故乃有五音
② 五行思想による人間の音声の分類。
※悉曇蔵(880)二「夫五音者、従五蔵兆、〈略〉帰五位極」
③ 中国・日本音楽の用語。音組織を構成する宮・商・角・徴・羽の五つの音。雅楽では、五声ということが多い。また、広く音楽をさしていい、音楽に通じていることを「五音に通じている」などという。
※菅家文草(900頃)五・隔壁聴楽「風送五音子細分、応瞽者一心聞
※花鏡(1424)舞声為根「まつ五蔵より出づる息、五色にわかれて、五音、六調子となる」 〔孟子‐離婁・上〕
[二]
五十音図の各行の五つのかなを表わす音。
※金光明最勝王経音義(1079)「五音 ハヘホフヒ タテトツチ カケコクキ サセスシ 已上清濁不定也 ラレロルリ ナネノヌニ マメモムミ アエオウイ ワヱヲフヰ ヤエヨユイ 已上清濁不替也」
※洒落本・辰巳之園(1770)通言「かきくけこの、五音(ゴイン)の字を付言也」
② 悉曇(しったん)学で、k c ṭ t pの五つの音によって代表されるそれぞれのグループを発音部位によって呼んだ名称。このとらえ方が中国音韻学に影響を与えた。〔悉曇蔵(880)〕
③ 「韻鏡」以後の中国の音韻学で、発音部位による音韻の五分類。すなわち、唇音・舌音・顎音(または牙音)・歯音(または齗音(ぎんおん))・喉音(こうおん)の五つ。〔運歩色葉(1548)〕〔韻鏡‐序〕
[三]
① 音声の調子。音調。こわね。ごおん。
※仮名草子・七人比丘尼(1635)上「豊田色をちがへ、五いんもかはり、〈略〉涙にむせびて物もいはず」
※浮世草子・好色二代男(1684)三「五音(ヰン)を聞もめいよなり、身の上あしくはなすまじと」

ご‐おん【五音】

[1] 〘名〙 =ごいん(五音)(三)①
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中「『御母様。午飯(おひる)は?』『未(まだ)さ』と五音(オン)の調子は頗る不平を帯びてゐる」
[2] 室町中期の能伝書。二巻。世阿彌著。成立年未詳。能の曲趣を五音、すなわち祝言・幽曲・恋慕・哀傷・闌曲(らんきょく)の五音曲に分類し、各曲味を説明しその代表曲を例示したもの。下巻後半に五音説とは別の曲舞謡(くせまいうたい)に関する記事・例曲を付す。

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世界大百科事典内の五音の言及

【五声】より

…音楽理論用語。五音ともいい,広くは5音音階を意味する。中国音階の基調をなし,日本,朝鮮にも入った。…

【五声】より

…音楽理論用語。五音ともいい,広くは5音音階を意味する。中国音階の基調をなし,日本,朝鮮にも入った。…

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