書は以て名姓を記すに足るのみ(読み)しょはもってめいせいをしるすにたるのみ

故事成語を知る辞典 の解説

書は以て名姓を記すに足るのみ

読み書き能力は、武勇天下を取るには役に立たない、ということ。

[由来] 「史記こう紀」に出て来る、紀元前三世紀の終わり、しん王朝末期の混乱の時代の武将項羽のことば。項羽は、若いころ、まず読み書きを学んだものの、「書は以て名姓を記すに足るのみ(読み書きなんて、名前が書ければ十分だ)」と言ってやめてしまい、次に剣術を学びましたが、「剣術なんて一人を相手にできるだけだ」と言って、これもやめてしまいました。そこで、大勢を相手にできる兵法を学びましたが、これもあらましを知っただけでやめてしまったということです。なお、項羽は、のちに秦王朝に対する反乱軍の総大将となって、天下の実権を握りますが、やがて、りゅうほうに敗れて滅びることになりました。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android