あらまし(読み)アラマシ

デジタル大辞泉 「あらまし」の意味・読み・例文・類語

あらまし

[名]
事柄のだいたいのところ。概略。「事件あらましを話す」
前もって先のことをあれこれ考えること。予想予定
「かねての―みなたがひゆくかと思ふに」〈徒然・一八九〉
[副]
おおかた。おおよそ。「普請あらまし出来上がった」
前もって。かねてから。
「心の限り仕うまつらむと、―おぼされつるに」〈増鏡・春の別れ〉
[類語]概略概要大要大筋概括粗筋およそ大枠枠組みアウトラインフレーム骨格大局大綱骨組み目安大意大略大概概況あらかた輪郭アウトライン縮図レジュメ抄録摘要提要梗概粗粗あらあら粗らかざっとおおよそおおむね大ざっぱおおまか粗い粗っぽい粗削り粗放粗略粗雑粗笨そほん雑駁ざっぱく大つかみ丼勘定ラフ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あらまし」の意味・読み・例文・類語

あらまし

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] 将来のことを、あれこれと思うこと。
    1. 予想。予定。予期。心あて。また、将来のことについての約束、示唆。
      1. [初出の実例]「待ちかねてひとりはふせどしきたへの枕ならぶるあらましぞする」(出典:山家集(12C後)下)
      2. 「かねてのあらまし、〈略〉おのづからたがはぬ事もあれば」(出典:徒然草(1331頃)一八九)
    2. ( 副詞的に用いて ) 予想として。かねてから。前もって。
      1. [初出の実例]「宮は先帝の御代りにも、いかで心の限り仕(つか)うまつらんと、あらましおぼされつるに」(出典:増鏡(1368‐76頃)一四)
  3. [ 二 ] だいたいのところ。
    1. 事件などのだいたいの次第。概略。
      1. [初出の実例]「祥、詣清大外史之文亭。厩可立之由有荒猿(アラマシ)」(出典:康富記‐嘉吉三年(1443)四月三日)
      2. 「ちかぢか尋(たづね)て、無事のあらましをもきかせ申べし」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)一)
      3. 「問はるるままに概略(アラマシ)を語れば」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉五)
    2. ( 副詞的に用い、「に」を伴うこともある ) だいたい。おおよそ。また、いい加減。
      1. [初出の実例]「あらましに聞きし御姿の、様の変りたるやらん」(出典:義経記(室町中か)七)
      2. 「既(すで)に其年の大晦日に、あらましに正月用意をして」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)五)

あらましの語誌

[ 二 ]の「あらまし」については、「粗(あら)まし」という語源を考える説もある。→「あらましごと(━事)」の語誌

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