最小発育阻止濃度(読み)さいしょうはついくそしのうど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「最小発育阻止濃度」の意味・わかりやすい解説

最小発育阻止濃度
さいしょうはついくそしのうど

細菌に対して抗菌活性を示す抗生物質などの薬剤が、細菌の発育を完全に阻止するのに最低限必要とされる最小濃度。この値が小さければ小さいほどその薬剤が高い抗菌活性をもっていることになり、細菌に対して抗菌力すなわち有効性が高いことを示す。MICminimum inhibitory concentration)と略される。単位はμg/mLで、細菌感染症患者の治療にどの程度の量の抗生物質を使うかの判断基準となる。患者に対する抗菌薬選択の妥当性を評価する目的で、この濃度を調べる薬剤感受性試験(薬剤耐性テスト)が用いられる。この試験には、段階を追って倍数希釈した薬剤を含む培地に供試菌を加えて調べる方法や、培地上に細菌を置き濃度の違う薬剤を含むディスクをかぶせて調べる方法などがある。MICの基準値としては、アメリカ臨床検査標準協会(CLSI:Clinical and Laboratory Standards Institute)が薬剤および細菌の種類ごとに定めたものがあり、これをブレイクポイントとよぶ。日本化学療法学会では、日本人にあった独自のブレイクポイントを提示している。

[編集部 2016年11月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の最小発育阻止濃度の言及

【殺菌剤】より

…これは石炭酸(フェノール)を標準として他の殺菌剤の力価を表示するものであるが,化学構造がまったく違う殺菌剤の評価には問題があるとされている。創傷用の殺菌剤の効果判定には原因菌の発育阻止力で行うこともあり,最小発育阻止濃度minimum inhibitory concentration(MICと略す)で表示することが多い。 一方,殺菌剤の拡散性を知るためには拡散試験difusion testがある。…

※「最小発育阻止濃度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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