月レーザー測距装置(読み)つきレーザーそっきょそうち

改訂新版 世界大百科事典 「月レーザー測距装置」の意味・わかりやすい解説

月レーザー測距装置 (つきレーザーそっきょそうち)

レーザー光を用いて月と地球の距離を精度よく測定する装置。アポロ宇宙船が月面に置いてきたレーザー光反射器に地上からレーザー光をあて,反射光が戻ってくるまでの時間を測定することによって距離を知ることができる。アメリカのマクドナルド天文台では,口径270cmの反射望遠鏡を用いて定常的に観測が行われていて,30~40cmほどの精度が得られている。これにより月の公転自転の運動,月と地球の距離が高い精度で得られ,地球の自転運動の変動極運動の決定に役だてられる。日本では,東京天文台堂平観測所に設置され,定常的な観測が行われている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の月レーザー測距装置の言及

【宇宙測地】より

…初期には写真赤道儀というカメラを用いた三角測量方式が用いられ,後には電波やレーザー測距装置を用いた三辺測量方式(図参照)あるいは海上における双曲線航法と類似の方法が用いられている。(2)月レーザー測距 月面にはアポロ宇宙船によりレーザー反射体が設置されており,人工衛星の場合と同じ原理で地上の観測局の位置を決めることができる(月レーザー測距装置)。(3)超長基線電波干渉法 電波天文学の手段として開発された超長基線電波干渉計の技術もクエーサーや人工衛星が発する電波を用いて地上の基準点間の位置関係を知るために利用されている。…

※「月レーザー測距装置」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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