最新 地学事典 「有孔虫類」の解説
ゆうこうちゅうるい
有孔虫類
学◆Foraminifera
SARスーパーグループ,リザリア界,有孔虫門。ドルビニー(1926)が,アンモナイトの房室間の隔壁にはsiphuncle(脈管)が発達するのに対し,孔(foramen)が開く頭足類の一部として命名。その後,原生動物に変更されたが,真核生物の分類が刷新され,現在は放散虫類と姉妹関係にある一門として位置づけられている。多様な殻の形態からLoeblich et al.(1988)は12亜目296科2,455属に分類。分子系統解析に基づき,Pawlowski et al.(2013)によって単室グループと多室グループ(2綱に区分)に再分類され,単室グループから多室グループの2綱がそれぞれ派生したとされている。糸状の原形質が吻合した網状仮足をもつことが共通する特徴。仮足は個体を固定し,また原形質流動によって個体の移動,微生物・有機物などの補食,老廃物の排出を行う。大部分の原形質は殻の中に収まっており,仮足は殻上の細かい孔や口孔から伸長して周辺環境とのやり取りを行うだけでなく,殻形成時には密集して周辺環境を遮断する役割を果たす。一般に殻径は数mm以下であるが,10cm以上になる種類もある。殻の材質は大分類の基準の一つで,キチン様有機物,外来物質を張り合わせた膠着質,石灰質(方解石,一部あられ石),まれに珪酸塩。石灰質殻は結晶の形状や配向によって,極微粒質(主に古生代の有孔虫),陶器質,ガラス質があり,さらにガラス質殻壁は断面の状態から4種類に分けられる。生殖様式には有性・無性生殖があるが,生殖様式が実際に確認されている種は少ない。有性生殖による個体を微球型世代,無性生殖による個体は初房が大きく顕球型世代として形態に違いが認められることもあり,フズリナ類では別種とされることがある。海生であるが,1種淡水湖に生息する種が存在する。生活様式は,海底に生息する底生有孔虫,外洋域の表層から中層水に生息する浮遊性有孔虫がある。底生有孔虫はカンブリア紀,浮遊性有孔虫はジュラ紀から出現した。それぞれ海底や海水中の環境を復元する手段として,また時代判定のために使用される。特にガラス質殻をもつ有孔虫類は,殻中の化学組成や同位体比が海水中のそれらを反映することから,地球化学分析にも使用される。1990年代以降,現生種を用いた遺伝子解析が進み,分子系統解析に基づく有孔虫類の初期進化や遺伝的多様性など,化石情報と生体情報の双方を融合した研究が世界で行われている。
執筆者:氏家 宏・氏家 由利香
参照項目:浮遊性有孔虫
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

