軟泥(読み)ナンデイ(その他表記)ooze

翻訳|ooze

精選版 日本国語大辞典 「軟泥」の意味・読み・例文・類語

なん‐でい【軟泥】

  1. 〘 名詞 〙 やわらかいどろ。主としてプランクトンの遺骸が深い海底に沈積してできたもので、遺骸を重量で三〇パーセント以上含む堆積物。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「軟泥」の意味・わかりやすい解説

軟泥 (なんでい)
ooze

陸地から遠く離れた深海底に沈積した遠洋堆積物の中で,生物の遺骸を重量で30%以上含むものを遠洋軟泥pelagic ooze(一般に略して軟泥)といい,石灰質軟泥ケイ質軟泥に分けられる。貝殻やサンゴ片が大量に堆積して生じた浅海の堆積物は軟泥とは呼ばない。

 海には多くの種類の生物が無数に生活しているが,死ぬと肉体部分は分解し,炭酸石灰,リン酸石灰,ケイ酸などでできた殻や骨は海底に泥や砂とともに堆積する。遠洋海域で最も多量なのはプランクトンであって,そのうち石灰質殻をもつものは有孔虫類(原生動物),ココリス類(藻類),翼足類(軟体動物),異腹足類(軟体動物),ケイ酸質殻をもつものはケイ藻類,放散虫類(原生動物),ケイ鞭毛藻類である。これらのうち翼足類,異腹足類,ケイ鞭毛藻類は量的に多くはない。これらの生物が堆積物中に含まれる割合は,(1)それらの生物が表層の海水中で生産される割合,(2)その死殻が海底に沈降するまでに溶解あるいは大型生物に捕食される割合,(3)海底において海水で溶解される割合と陸源砕屑物(泥)の堆積速度,によって決まる。(1)に関しては,一次的生産者である植物性プランクトン(ケイ藻など)の繁殖に必要な栄養塩類(リン酸塩,硝酸塩,ケイ酸塩)の多い海域,すなわち湧昇流の強い海域に軟泥が分布する。(2)に関しては,海底に到達する生物殻の数は表層水中の殻の数の1~10%にすぎないといわれる。(3)に関しては,石灰質殻はケイ質殻より溶けやすく,水深4500~5000m以深では石灰質殻は完全に溶解し,ケイ質軟泥や褐色粘土が分布し,浅所に石灰質軟泥が分布している。陸源砕屑物の堆積速度が速いほど生物殻が含まれる割合は小さいが,遠洋海域では陸源砕屑物の堆積は一般に非常に低いので無視できる。以上に述べた(1)と(3)によって石灰質軟泥,ケイ質軟泥の分布が決まる。軟泥中には底生有孔虫,貝殻,ウニのトゲ,カイメンの針骨が少量含まれている。
海底堆積物
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最新 地学事典 「軟泥」の解説

なんでい
軟泥

ooze

30%以上の浮遊性生物遺骸を含む軟らかい海成の泥。成分をもとに石灰質軟泥(calcareous ooze)と珪質軟泥(siliceous ooze)に分けられ,さらに主な生物の名を付して,石灰質軟泥はグロビゲリナ軟泥コッコリス軟泥・翼足虫軟泥に,珪質軟泥は珪藻軟泥・放散虫軟泥に細分される。石灰質軟泥の分布はCCD(炭酸カルシウム補償深度)よりも浅い海底に限られるが,海洋の面積の50%を占め,太平洋の南半部,大西洋中央部,インド洋の西半部に多い。珪質軟泥はより深い海域に分布し,太平洋の北部,赤道付近,南極大陸周縁に多く,海洋面積の15%を占める。一方,湖の浮遊性生物遺骸が大部分を占める湖成の泥は骸泥と呼ばれる。

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百科事典マイペディア 「軟泥」の意味・わかりやすい解説

軟泥【なんでい】

遠洋性深海堆積物の一種。30%以上が浮遊生物の殻などからなる細粒の堆積物。主要な構成物に基づいて,コッコリス軟泥グロビゲリナ軟泥,翼足虫軟泥,放散虫軟泥,ケイ藻軟泥などに分ける。前3者は石灰質,後2者はケイ質。ケイ質軟泥は特に深海に多く,これは,著しい深海ではグロビゲリナの殻などの炭酸カルシウムは溶解してしまうためである。ケイ質軟泥は,しばしば赤粘土に移り変わる。ケイ藻軟泥は高緯度地方に特徴的。
→関連項目底質

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軟泥」の意味・わかりやすい解説

軟泥
なんでい
ooze

おもにプランクトンの遺骸が沈積した大洋底の柔らかい泥の総称。主要成分により石灰質軟泥ケイ質軟泥とに分けられる。石灰質軟泥は生物の種類により,有孔虫の主要な属名をとってグロビゲリナ軟泥,コッコリス軟泥,翼足類軟泥に,ケイ質軟泥は放散虫軟泥,ケイ藻軟泥などと分類される。

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岩石学辞典 「軟泥」の解説

軟泥

軟らかい,ばらばらの深海堆積物で,大部分が貝殻と浮遊生物性有機物の屑で構成されている[Muray & Renard : 1891, Holmes : 1965].主に浮遊生物の遺骸が分解されて生じた泥をいい,腐泥ともいう[木村ほか : 1973].例えばglobigerina ooze, radiolarian oozeなどがある.最近の軟らかい泥に不正確に用いられることがある.

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世界大百科事典(旧版)内の軟泥の言及

【ケイ質軟泥(珪質軟泥)】より

…海洋堆積物の一種。生物の遺骸を重量の30%以上含む堆積物を軟泥oozeと呼び,その成分によりケイ質軟泥と石灰質軟泥に大別される。ここでケイ質とは,石英(結晶質シリカSiO2,おもに陸源)ではなくて,生物体を構成する,水分子を持つ非晶質シリカ(オパール質シリカSiO2nH2O)を多く含むという意味である。海水中からシリカを抽出してオパール質シリカの殻をつくり,その死殻が堆積物中に保存される生物はケイ藻,放散虫,ケイ質鞭毛藻とカイメンである。…

【海底堆積物】より

…第2の供給源は海底・海水中の生物で,特に表層水(100m以浅,特に50m以浅)中で繁殖する各種の微小な植物性・動物性プランクトンで,その死骸は海底へ沈降し,マリン・スノーと呼ばれる。この死骸が堆積物の重量で30%以上のものは軟泥(石灰質軟泥ケイ質軟泥)と呼ばれる。このほかに海水中に溶解している元素が熱帯・亜熱帯の浅海で無機化学的に沈殿して生じる石灰岩・セッコウ・岩塩などの蒸発岩がある。…

【ケイ質軟泥(珪質軟泥)】より

…海洋堆積物の一種。生物の遺骸を重量の30%以上含む堆積物を軟泥oozeと呼び,その成分によりケイ質軟泥と石灰質軟泥に大別される。ここでケイ質とは,石英(結晶質シリカSiO2,おもに陸源)ではなくて,生物体を構成する,水分子を持つ非晶質シリカ(オパール質シリカSiO2nH2O)を多く含むという意味である。…

※「軟泥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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