地質時代の区分の一つ。約2500万年前から200万年前までの時代で,その前の古第三紀と合わせて第三紀とされることが多い。新第三紀は,その大部分を占める中新世(2500万~500万年前)とそれに続く鮮新世(500万~200万年前)に区分される。新第三紀の生物界は,現在では絶滅した種が多いとはいえ,現生種と系統的に近縁なものが多い。哺乳類では草食のゾウ,カモシカ,ウマその他が発展し,それに伴ってこれを捕食する肉食獣も,現代型のするどい犬歯や稜の強い臼歯をもった大型のものが発展した。大型の類人猿が出現し,人類の祖型と考えられているラマピテクスなどが現れたのも新第三紀である。海生の貝類でも,現在なじみの深い多くの種類が新第三紀の初頭に出現し,発展を続けて現在に至っている。
新第三紀は世界的な大海進の時代で,海が大陸上に広がり,各地に海成の新第三系を堆積した。日本でも,中新世の地層は広く分布し,ことに関東地方以北の東北日本に広い。その下部は,変質した火山岩類を主とし,一般にグリーンタフと呼ばれている。この時代には日本列島の大部分が海底となった。同じ時期に現在の瀬戸内海付近を東西に続く内陸海も形成され,古瀬戸内海とよばれている。現在の日本列島の概形ができたのも新第三紀で,東北日本でも奥羽山脈などは,中新世末ごろから隆起に転じ,現在の山系をなすに至った。海が広がるとともに,この時期には各地で造山運動が進行した。アルプス・ヒマラヤ地帯では,新第三紀初頭から山脈の隆起が始まり,その後期には大山脈を形成するに至った。
中新世の前期は世界的な温暖期であった。日本でも中部地方までが熱帯的となり,黒潮が北海道中部にまで及んでいた。このような温暖期はごく短期間しか続かず,その後気候は寒冷化傾向を強め,第三紀末には,極域だけでなく中緯度の高山にも氷河が形成されるようになった。
→地質時代
執筆者:鎮西 清高
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地質時代の時代区分の一つで新生代を時代区分したときの2番目の紀であり、中新世、鮮新世をあわせた時代の総称。およそ2303万年前から258万年前までの時代をいう。新第三紀に形成された地層を新第三系という。気候は、中新世中期までは温暖で、顕著な海進期にあたり、その後徐々に寒冷化した。ヒマラヤ―アルプスなどの主要な大山脈の著しい隆起の時代にあたる。現在とほぼ同じ生物地理区ができた。動物界では古第三紀に比べて現在と共通する生物の種の増加が認められるが、植物界では古第三紀との違いは著しくない。
[山口寿之 2015年8月19日]
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…第三層はそれらをおおう軟らかい泥岩や砂岩の地層で,この時代が第三紀である。第三紀は,ふつう6500万年前から2500万年前までの古第三紀と,2500万年前から200万年前までの新第三紀の2亜紀に区分される。また,古第三紀は古い方から暁新世,始新世,漸新世に,新第三紀は中新世,鮮新世に細分されている。…
※「新第三紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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