村上ファンド証券取引法違反（読み）むらかみふぁんどしょうけんとりひきほういはん

知恵蔵

村上ファンド証券取引法違反

東京地検特捜部は2006年6月5日、ニッポン放送株の売買をめぐってインサイダー取引をしたとして、村上ファンドの村上世彰代表(当時46)を証券取引法違反容疑で逮捕した。特捜部は同年3月にライブドア元幹部らを同法違反罪で起訴した後もライブドア関係者からの事情聴取を続け、ニッポン放送株の大量取得の経緯を調べてきた。6月23日、法人としての投資顧問会社・MACアセットマネジメントとともに起訴された。特捜部の調べでは、村上前代表はライブドアが5%以上のニッポン放送株を大量取得する方針という未公表の「重要事実」を知りながら、04年11月9日〜05年1月26日に計約99億5000万円で同放送株約193万株を買い増した。同ファンドは2月23日までに同放送株を売り抜け、約30億円の不正利益を得たとされる。ライブドアが同放送株の大量取得を公表したのは、東京証券取引所の時間外取引で大量取得し、持ち株比率を約35%とした05年2月8日だった。村上ファンドは主にライブドア側から情報を得た後の04年12月中旬から、同放送株を大量に買い増し、05年1月5日時点には保有比率を18.57%に高めた。その後、ライブドアとフジテレビの間でニッポン放送株争奪戦が起き、株価が急騰すると同放送株を大量に売った。村上前代表は6月26日、保釈保証金5億円を小切手で納め、東京拘置所から保釈された。

(緒方健二 朝日新聞記者 ／ 2007年)

出典　(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」