村濃(読み)むらご

精選版 日本国語大辞典 「村濃」の意味・読み・例文・類語

むら‐ご【村濃・斑濃・叢濃】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 染色の名。同じ色でところどころに濃い所と薄い所のあるもの。紺色のものを紺むらご、紫色のものを紫むらごなどのようにいう。
    1. [初出の実例]「色々の紅葉、うすき濃きむらごにまじり、月おもしろき夕暮れに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
  3. むらご(村濃)の威(おどし)」の略。

むら‐ごう【村濃】

  1. 〘 名詞 〙 「むらご(村濃)」の変化した語。〔元和本下学集(1617)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の村濃の言及

【色無地】より

…無地とは染柄が無いという意味で,地紋の有無は関係ない。一色でも濃淡の染は村濃(むらご),裾にゆくにしたがって濃く染めたものは裾濃といい,無地ぼかしとして好まれる。色無地に紋をつけると準礼装になる。…

【染色】より

…さらに支子は赤みのある黄色に発色するところから,その濃染は山吹色と呼ばれ,皇太子の服色である黄丹に近いところから,珍重されたようだが,同じ黄でも青みを含んだ刈安の黄は,逆に好ましくない事柄の際に用いられるなど,色相による用途の変化を生ずるようになった。 このような微妙な色彩の変化が好まれた結果,染加工として裾濃(すそごう),村濃(むらごう)と呼ばれるぼかし染が盛行した。また絞染も結染(ゆいぞめ),括染(くくりぞめ)あるいは目結(めゆい),目染などと呼ばれ,引き続き行われたが,かつて盛んであった纈は姿をひそめてしまった。…

※「村濃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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