松喰鶴(読み)まつくいづる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松喰鶴」の意味・わかりやすい解説

松喰鶴
まつくいづる

マツ小枝を嘴(くちばし)にくわえたツルの模様。「まつばみづる」ともいう。マツもツルもいずれも延命長寿の瑞(ずい)木、瑞鳥で、これを組み合わせて二重にめでたい模様としたものである。元来これは東ローマ、ペルシアあたりに起源をもち、わが国では奈良時代に流行した花喰鳥(はなくいどり)模様を和風化したもので、藤原時代に賞用された模様である。国宝の松喰鶴文蒔絵(まきえ)小唐櫃(からびつ)(厳島(いつくしま)神社蔵)はこの期の代表的な作例であるが、そのほか藤原時代の鏡にはこの模様を鋳出したものがきわめて多い。

村元雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android