板舟(読み)イタブネ

デジタル大辞泉 「板舟」の意味・読み・例文・類語

いた‐ぶね【板舟】

薄い板で作った小舟。泥深い水田で、苗や刈り取った稲をのせるのに使う。
東京日本橋の旧魚市場で、魚類販売のために並べた板。板舟株という営業上の権利が認められていた。

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精選版 日本国語大辞典 「板舟」の意味・読み・例文・類語

いた‐ぶね【板舟】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 薄い板で作った小舟。深い水田で早苗刈稲を載せるのに使用される。
    1. [初出の実例]「けふも又田子のいた舟さしうけてぬま江をふかみとる早苗かな〈藤原知家〉」(出典:宝治百首(1248)夏)
  3. 江戸時代から大正年間、東京日本橋の旧魚河岸で、魚商が市場区域内西側の一定区域を限って魚類を販売した際、その魚を並べた板。初め、この板が船形をしていたところからいう。
    1. [初出の実例]「今日はから不漁(しけ)よ、板舟(イタブネ)が全然(まるで)干上って居る」(出典人情本・藪の鶯(1827)中)
  4. いたぶねかぶ(板舟株)」の略。
    1. [初出の実例]「其の頃の府議や市議には板舟の内職もなく陣中見舞金の役徳も無かったから」(出典:読書放浪(1933)〈内田魯庵〉銀座繁昌記)

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