日本大百科全書(ニッポニカ) 「栗本瑞見」の意味・わかりやすい解説
栗本瑞見
くりもとずいけん
(1756―1834)
江戸中期の幕府医官、本草(ほんぞう)学者。江戸神田の生まれ。名は昌蔵、号丹州。実父の本草学者田村藍水(らんすい)の薫陶を受ける。22歳で幕医栗本昌友(しょうゆう)(3代瑞見)の養子となり、将軍家奥医師に進み、二の丸製薬所を主管した。38歳で4代瑞見を相続、幕府医学館講書の兼務を命じられ、本草学を講じ薬品鑑定をつかさどる。66歳で幕医最高の法印に昇り瑞仙院と称した。本草学者の業績も秀抜で、日本の本草書に虫類の記載がないのに着目、18年を費やした写生図『千虫譜』2巻(1811)は虫類図説の先行。『本草存真図』50巻、『六百介譜』『魚譜』『貝譜』ほか著作は多数に上る。
[根本曽代子]