桑市村(読み)くわいちむら

日本歴史地名大系 「桑市村」の解説

桑市村
くわいちむら

[現在地名]朝来町桑市

物部もののべ村の南、北流する円山まるやま川の左岸に位置し、生野いくの街道(但馬街道)が通る。南は立脇たちわき村。古代の朝来郡桑市郷(和名抄)の遺称地。地内の高野山真言宗日輪にちりん寺に蔵される鰐口(県指定文化財)には、応永二〇年(一四一三)一〇月一八日の年紀があり、「朝来郡桑市村普賢寺」「願主平家次敬白」とみえる。次いで生野口銀谷の金蔵くちがなやのこんぞう寺所蔵梵鐘の第二次の追刻には、天正二年(一五七四)八月一八日の年紀と「欽奉掛但州朝来郡桑市村観音寺」「住持法印全海買取掛」の銘がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の桑市村の言及

【阿斗桑市】より

…後者の交通上の重要性が高まったのは推古朝以後と考えられるので,敏達朝にみえるこの市の比定地としては前者が妥当と考えられる。前者は《和名抄》河内国渋川郡跡部郷の故地で,大和川,石川合流点と難波のちょうど中間に位置する交通上の要地であり,〈桑市村〉とも称されるごとく人家も多く,大連物部守屋の別業や百済から来た日羅(にちら)の居館もこの地にあったという。769年(神護景雲3)称徳女帝が行幸に際して竜華寺の西の川上に臨時の市を開き,〈河内市人〉を集めさせたのも,近くに阿斗桑市があったことに触発されてのことであり,〈河内市人〉の中には阿斗桑市の市人が多かったと考えられる。…

※「桑市村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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