ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楊逵」の意味・わかりやすい解説
楊逵
ようき
Yang Kui
[没]1985.3.12.
台湾の作家。台南県の人。本名,楊貴。日本の植民地支配のなかに育ち,思想的出路を求めて 1924年東京に渡り,苦学のかたわら労働運動,政治運動に参加。1927年帰台,台湾農民組合中央委員となり竹林争議などを指導したが,翌 1928年路線闘争により地位を追われた。1932年小説『送報夫』を書き作家としてデビュー。しかし『台湾文芸』『台湾新文学』などの雑誌によるその文学活動は,抗日運動崩壊後の後退戦ともいえるものであった。1945年台湾光復後,『一陽週報』『台湾文学叢刊』を創刊し,中日文対照中国文芸叢書として魯迅らの小説を日本語訳するなどの文化活動を行なったが,1949年政治犯として逮捕され,火焼島に 12年の禁錮生活を送った。出獄後は台中で花をつくり生活を立てるかたわら創作活動を続けた。著書『鵞鳥の嫁入』など。
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