日本大百科全書(ニッポニカ) 「楊門女将」の意味・わかりやすい解説
楊門女将
ようもんじょしょう
中国の京劇の作品。江南の地方劇揚劇(ようげき)の伝統演目『百歳掛帥(ひゃくさいかいすい)』を参考に、範鈞宏(はんきんこう)と呂端明(りょたんめい)が編んだもの。宋(そう)の仁宗(じんそう)の世、西夏(せいか)の王文が辺境の三関を侵し、宋の守将楊宗保(ようそうほ)は討ち死にする。訃報(ふほう)を聞いた楊家の佘太君(しゃたいくん)は、和戦を決しかねる朝廷に飽き足らず、100歳の高齢をおして穆桂英(ぼくけいえい)ら楊家の諸女将を率い、出陣を決意する。三関に至り、佘太君らは激戦のすえに王文を破る。王文は天険に拠(よ)って宋軍を谷におびき寄せようとするが、穆桂英は間道を伝って王文の軍を背後から襲撃。佘太君と穆桂英の挟み撃ちに、王文は大敗、宋軍の大勝利となる。1960年に映画化。地方劇にもほぼ同内容の『十二寡婦征西(じゅうにかふせいせい)』と題する演目がいくつかある。
[刈間文俊]