楡の木陰の欲情(読み)にれのこかげのよくじょう(英語表記)Desire under the Elms

改訂新版 世界大百科事典 「楡の木陰の欲情」の意味・わかりやすい解説

楡の木陰の欲情 (にれのこかげのよくじょう)
Desire under the Elms

アメリカの劇作家E.G.オニール戯曲。1924年初演。19世紀半ばのニューイングランド舞台にし,老農夫,その息子,老農夫があらたに迎えた若い妻の間の,性欲物欲葛藤を赤裸々に描いた作品で,若い妻と息子の密通,若い妻の出産嬰児殺しなどのどぎつい題材のため,非難されたことがある。舞台に立ちはだかる巨大な楡の木が作品全体の雰囲気を象徴している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の楡の木陰の欲情の言及

【オニール】より

…当時のアメリカ演劇には珍しいリアリズムの作風は,大いに歓迎された。その後の戯曲には,同じく手堅いリアリズムの手法を用いた《アンナ・クリスティー》(1921初演)や《楡の木陰の欲情》(1924初演)もあるが,他方ではヨーロッパの反リアリズム演劇の方法をいち早くとり入れ,多様な実験を試みた。たとえば《皇帝ジョーンズ》(1920初演)は表現主義美学を基礎として照明や効果音を重視し,主人公の感情を観客が見たり聞いたりできるかたちであらわそうとした。…

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