翻訳|New England
アメリカ合衆国北東部の地域。マサチューセッツ,コネティカット,ロード・アイランド,ニューハンプシャー,バーモント,メーンの6州からなる。1614年この地方を探検したイギリス人J.スミスによりニューイングランドと名づけられ,20年プリマスに入植したピルグリム・ファーザーズをはじめ,以後多数のピューリタンが渡来,彼らを中核とする特色ある地域として発展した。東と南が大西洋に面し,西方はアパラチア山脈に連なる山地に画される。内陸部に通じる河川もなく,地域的一体性が助長された。また,土地がやせていたため,南部と異なり大農園制ではなく自給的農業が営まれた。ニューイングランド人は自立心が強く,気質として公共への義務感,営利の才,勤倹な生活態度などが指摘される。ヤンキーという言葉も元来は彼らを指して用いられた。自治的村落共同体を地盤にタウン・ミーティングと呼ばれる直接民主制が植民地時代から発達している。また,教育重視がピューリタン以来の伝統である。漁業,海運業,造船業が早くから栄え,19世紀中葉には綿工業の中心地ともなった。合衆国の発展にともない,ニューイングランドの相対的地位は低下したが,商工業の活力は失われていない。この地方の中心であるボストンは今日,ニューヨークを核とするメガロポリスの北端に位置する。なお,〈アメリカ合衆国〉の項目の[地誌]を参照されたい。
執筆者:大下 尚一
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アメリカ合衆国北東部の地域。メーン、バーモント、ニュー・ハンプシャー、マサチューセッツ、コネティカット、ロード・アイランドの6州により形成される。面積17万2513平方キロメートル、人口1392万2517(2000)。西にアパラチア山脈が走り、東は大西洋に面する。全域にわたって肥沃(ひよく)な土地には恵まれず、産業は良港を有する漁業や造船業を中心として発達してきた。19世紀初頭からは工業も徐々に発達し、現在では電子、電気、金属など多種工業の進出が目覚ましい。また、合衆国を代表するハーバード大学をはじめ、教育・文化施設が多く、景勝地も多い。マサチューセッツ州を中核にイギリスの植民地として古くから発達したこの地方は、合衆国のなかでもっともよくイギリスの文化や風俗・習慣が残されており、それを誇りとしている。
[作野和世]
イングランドのジョン・スミス船長が1614年に沿岸を探検し、ニュー・イングランドと名づけた。ピルグリム・ファーザーズ漂着(1620)を皮切りに清教徒がマサチューセッツを中心に入植し、厳格な宗教倫理に基づく独特な植民地社会を形成した。1686年イギリス政府によりニュー・イングランド自治領となり、一つのプロビンス(省)として総督アンドロスEdmund Andros(1637―1714)の支配下に置かれた。ハーバード大学(1636)やエール大学(1701)などができ、自治組織であるタウン制度が発達した。本国から自立した生活習慣を培った人々は、ニュー・イングランド・タイプ、一般にはヤンキーとよばれる気質を備えるようになった。ボストン茶会事件のようなアメリカ独立革命を導く主要な事件の舞台ともなった。「一八一二年戦争」後は工場制手工業が飛躍的に発達した。19世紀後半、ヨーロッパからの労働者流入によりカトリック教徒が増えたが、今日なお教会と地域社会に根ざす清教徒的習慣が残っている。
[野村文子]
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アメリカ北東部,マサチューセッツ,コネティカット,ロードアイランド,ニューハンプシャ,メーン,ヴァーモントの6州をさしていう。17~18世紀にピューリタンによって開拓され発展したが,19世紀半ばからカトリックの移民も多く流入した。植民地時代以来タウン制度のような民主的制度を持ち,アメリカで最も早く教育を普及させ,学術文化の中心であることを誇ってきた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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… 大西洋岸からメキシコ湾岸にかけては,低平で湿地の多いコースタル・プレーン(海岸平野)が続く。大西洋岸の海岸平野は,北部のニューイングランドでは幅が狭く,南へいくほど広い。この地域はバージニア,マサチューセッツなどのように,北アメリカ植民史ではもっとも古い歴史をもつ地域の一つである。…
…オランダはこのほか北アメリカ大陸にも進出し,1614年にはニューアムステルダム(現在のニューヨーク)を建設した。 新大陸におけるイギリスの進出はカリブ海(1604以降),バージニア(1607以降),ニューファンドランド(1610以降),ニューイングランド(1620以降)で行われた。バージニア,ニューイングランド植民地は農業をその基礎としていたが,事実上はその農産物をカリブ海などのスペインの植民地に輸出していたのであって,その限りにおいてイギリスの植民地はスペインの植民地に対して補足的役割を果たしていたということができる。…
※「ニューイングランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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