改訂新版 世界大百科事典 「業火クラブ」の意味・わかりやすい解説
業火クラブ (ごうかクラブ)
Hell-fire Club
18世紀イギリスの悪名高い結社。廃虚の僧院を集会所とし,黒魔術や猥雑な狂宴に熱中したといわれる。創設者ダッシュウッド卿 Francis Dashwood(1704-81)は富裕な商人であった父から当時随一と呼ばれた莫大な財産を相続し,皇太子を含む英国王室関係者,有名な道楽者サンドウィッチ伯爵,ロンドン市長J.ウィルクスをはじめとする政治家,さらにB.フランクリンらを会員に擁するクラブを1750年代後半からほぼ20年間にわたって主宰した。集会所にはエロティックな壁画が飾られ,会合のたびにロンドンの街中から若い女性を探し集めてくるという乱暴な行動は社会の指弾を浴びたが,同時にそこはディレッタントたちが現実の政治や宗教について自由に批判する場ともなった。
執筆者:荒俣 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報