日本大百科全書(ニッポニカ) 「楽打」の意味・わかりやすい解説
楽打
がくうち
風流(ふりゅう)系の太鼓踊。楽ともいい、太鼓を楽とした呼称で、福岡県の豊前(ぶぜん)、大分県の南部に圧倒的に多い。同系の太鼓踊を地方によっては浮立(ふりゅう)ともいう。西日本に多い太鼓踊にはさまざまな呼称があるが、楽踊は山口県に、楽、楽打は福岡県、大分県に、浮立は佐賀県に主として分布している。豊前系の楽打の最大規模のものは北九州市小倉南区道原(どうばる)の道原楽で、円陣をつくって胸につるした締太鼓(しめだいこ)を打ちながら演舞するもので、合計24人という大掛りなものである。小笠原(おがさわら)藩は雨乞(あまご)いのたびにこの楽を重視した。福岡県では、小倉(こくら)の沼楽(ぬまがく)、豊前市の感応楽(かんのうがく)、行橋(ゆくはし)市の検地楽(けんちがく)、嘉麻(かま)市の稲築山野の楽(いなつきやまのんのがく)などが知られる。大分県では、下毛(しもげ)郡の宮園楽(みやぞのがく)、日田(ひた)市の磐戸楽(いわとがく)、県南地方の杖踊(つえおどり)など風流の要素が濃い。
[萩原秀三郎]