槌子(読み)つちのこ

精選版 日本国語大辞典 「槌子」の意味・読み・例文・類語

つち‐の‐こ【槌子】

〘名〙
① ひたいと後頭部とがつき出た頭。さいづち頭。
浄瑠璃・曾我扇八景(1711頃)上「供先打割るつちのこの、鎚持奴が糸鬢も、はり退け突退け割って乗る」
② 不器用な人。特に、針仕事のできない女。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)二「綻(ふくろ)び一つ縫ふ事がならず。それ故請出され、人の妻と成て筈が会はず、大形は針手の利かぬ槌(ツチ)の子は、遣手に成て果つるも多し」
③ 目も口も鼻もない子。
※仮名草子・奇異雑談集(1687)二「三番の産には槌子(ツチノコ)をうむ。目はな口なきゆへに、やがてこれをころしおはんぬ」
④ 男性器のたとえにいう語。
※浮世草子・好色産毛(1695頃)一「除夜の大豆読む年に恥る気もなくて、あはれ世になき者の槌(ツチ)の子(コ)、わが懐もむかしに替りて引舟の乗初」
⑤ 蛇の一種という想像上の動物。文献上は「和漢三才図会」に記載された「野槌蛇 ノヅチ」がこれにあたるという。
⑥ 薦(こも)、筵(むしろ)などを編む経(たて)の糸を巻きつける重り
※雑俳・西国船(1702)「ひまがない・槌の子投ぐるすだれあみ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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