橘 右近(読み)タチバナ ウコン

20世紀日本人名事典 「橘 右近」の解説

橘 右近
タチバナ ウコン

昭和・平成期の書家 寄席文字橘流家元。



生年
明治36(1903)年

没年
平成7(1995)年7月3日

出生地
東京・芝浜松町(東京都港区)

本名
椙田 兼吉(スギタ カネキチ)

別名
前名=柳家 さくら(2代目)

主な受賞名〔年〕
文化庁長官表彰〔平成2年〕

経歴
寄席が好きで家業の庭師を継がず、大正8年18歳で柳家さくら(のちに3代目つばめ)に弟子入りし、二ツ目までのぼった。公演ビラの名手・ビラ辰の家に通ううちに見様見真似で書き始め、多くのビラ屋が絶える中書き続け、神田須田町の立花亭に見込まれて落語家を廃業。昭和24年寄席文字で一本立ちし、40年「寄席文字橘流」で一家をなした。55年30年以上に及ぶ作品の集大成である「橘右近の寄席文字」を出版。62年4月には上野・本牧亭で「橘右近まつり」が開かれた。2代目集古庵の名の寄席資料の収集家としても知られ、平成2年にはそのコレクションを収めた「寄席百年」が再版された。また40年頃からカルチャーセンターなどで講師をつとめる。著書に「寄席文学字典」「落語裏ばなし」など。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報