日本大百科全書(ニッポニカ) 「歯周症」の意味・わかりやすい解説
歯周症
ししゅうしょう
従来、歯周症は歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨の総称)の退行性変化を主徴とする歯周疾患で、炎症性変化は二次的なものと考えられ、特殊な歯周疾患の一つとして分類されていた。しかし今日ではいわゆる歯周炎の一つの病型である若年性歯周炎として取り扱われるようになった。若年性歯周炎の発症時期は10歳代後半から20歳代前半の比較的若年者にみられ、発症部位が前歯部および第一大臼歯(きゅうし)にみられる限局型若年性歯周炎と全顎(がく)にわたってみられる広汎(こうはん)型若年性歯周炎がある。歯肉の炎症症状が少ないのに著しい歯槽骨破壊が急速に起こり、その結果、歯の動揺、病的移動が認められる場合が多い。本症の発症機構については発症に関与する細菌の種類の相異や宿主(しゅくしゅ)の好中球機能など細菌学的ならびに患者の全身的背景について検討されているが詳細は不明である。
[加藤伊八]