家庭医学館 「歯肉炎と歯周炎」の解説
しにくえんとししゅうえん【歯肉炎と歯周炎】
炎症が歯肉部にのみかぎってみられるものを歯肉炎といいます。
一方、炎症が歯肉よりもさらに深く波及して、歯根膜(しこんまく)や歯槽骨(しそうこつ)(歯を支えている骨)が破壊されている場合を、歯周炎といいます。
つまり、歯肉炎、歯周炎という診断は、あくまで炎症の範囲を示すもので、炎症の激しさを意味するものではありません。
歯肉炎の原因は、歯肉縁上(しにくえんじょう)の歯垢(しこう)(プラーク)に含まれているアクチノマイセス・ビスコーサスやアクチノマイセス・ネスランディイと呼ばれる細菌です。
これに対して、歯周炎の原因となる細菌は、歯周ポケット内の歯肉縁下(しにくえんか)の歯垢に含まれているものです。これらの菌は空気を嫌う性質があり、嫌気性菌(けんきせいきん)と呼ばれています。このなかのポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテーラ・インターメディア、バクテロイデス・フォーサイサス、さらにスピロヘータなどの菌が、歯周病、とくに成人性歯周炎を引きおこすことが知られています。