毒にんじんとその後(読み)どくにんじんとそのご(その他表記)Hemlock and After

日本大百科全書(ニッポニカ) 「毒にんじんとその後」の意味・わかりやすい解説

毒にんじんとその後
どくにんじんとそのご
Hemlock and After

イギリスの小説家アンガス・ウィルソンの処女長編小説。1952年刊。名声あるリベラルな作家バーナード・サンズは、理想を貫いて文化会館を建設することに成功する直前に、自分のなかにある同性愛的な性情を強く思い知らされ企図挫折(ざせつ)する。これまで悪は外から侵入するものとして、それを防ぐことばかり考えていたサンズは、内部の悪によって滅んでゆく。さまざまな登場人物が一堂に会するいわゆる「ハウスパーティー」型小説の傑作であり、伝統的なイギリス風俗小説にアンドレ・ジッド以後のフランス心理小説の味わいを加味したものといえよう。なお表題は、同性愛的性向によって若者を誤らせたとして非難されて毒をあおった、ソクラテス故事への言及である。

[出淵 博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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