日本大百科全書(ニッポニカ) 「永久磁石直流機」の意味・わかりやすい解説
永久磁石直流機
えいきゅうじしゃくちょくりゅうき
permanent magnet DC machine
界磁に永久磁石を用いた他励直流機の一種。界磁が永久磁石なので界磁磁束はつねに一定と考えることができる。そのため、電動機、発電機とも特性は電機子電流のみで決定される。トルクT(単位はニュートンメートルNm)は電機子電流I(単位はアンペアA)に比例する。このとき、T=Kt・Iと表され、比例定数Ktをトルク定数とよぶ。トルク定数は直流機の構造、構成によって決まる定数である。また回転により生じる誘導起電力E(単位はボルトV)は回転角速度ω(単位はラジアン毎秒rad/s)に比例し、E=Ke・ωと表される。このとき比例定数Keを起電力定数とよぶ。国際単位系(SI単位系)を使用する限りKtとKeは同一の数値である。
このような特性なので、電源電圧を制御すればトルクまたは回転数が制御できることになる。そのため永久磁石直流機はDC(直流)サーボモーターにも使われる。
界磁に使用する永久磁石はボンド磁石、フェライト磁石、希土類磁石など多種にわたる。永久磁石直流機は自動車などのバッテリーを用いた用途や音響家電品などの小容量の分野で多数使われている。永久磁石界磁の小型直流電動機は生産数量ではもっとも多い形式の電動機である。
[森本雅之]