沖縄米軍用地問題(読み)おきなわべいぐんようちもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沖縄米軍用地問題」の意味・わかりやすい解説

沖縄米軍用地問題
おきなわべいぐんようちもんだい

沖縄は極東におけるアメリカの軍事上の重要な拠点であり,施政権がアメリカにあったため,用地問題で多くの紛争があった。なかでも 1954年3月にアメリカ民政府は,アメリカ側評価による地価相当額の一括払いによる永久借地権の設定を構想した。これに対し琉球立法院は,地代の一括払い反対,適正補償賠償,および新規接収反対の4原則を打出した「軍用地処理に関する請願」を決議した。 57年1月,アメリカ極東軍司令官兼民政長官 L.レムニッツァーは地代一括払いの方針を声明,58年6月沖縄代表団が渡米して直接アメリカ政府と交渉し,土地問題再検討を約束させた。そして8月現地折衝を開始し,新方式による妥結を 11月3日に行なった。日本復帰後も,米軍基地はほぼ従来のまま保持され,軍用地は,土地としては地主に返還されず,復帰と同時に沖縄だけを対象とした公用地暫定使用法 (1977年5月 18日以降は地籍法) が適用された。しかし,契約を拒否する地主の問題,戦乱で書類が焼失したりして地籍が不明確になってしまったことなどもあり,軍用地問題は解決されていない。沖縄本島の 18%が米軍施設に占拠されている。

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