翻訳|Far East
東アジア諸国およびその周辺地域の総称で,一般には日本,中国,朝鮮,モンゴル,東シベリアなどを指すが,ときには東南アジアまでも含めることがある。もともとこの言葉はヨーロッパからみて東洋の最も遠い地方を意味し,〈近東〉〈中東〉などと同じく確定した地理的範囲を示すものではない。16世紀におけるポルトガル人のインド,中国,日本等への航海以後,漠然と東アジア地域を意味する〈極東〉の概念が生まれ,オランダ,イギリス,フランス諸国の東洋進出によってこの言葉はヨーロッパでは一般的な用語となった。しかしアメリカからみるとき,これは適切な用語ではなく,とくに第2次大戦後は交通手段の革命によって距離感が薄れ,またこの言葉のもつ西欧中心の帝国主義的な響きのゆえに,今日では一般にはしだいに使用されなくなっている。
→極東地方
執筆者:秋月 俊幸 日本では日米安全保障条約第6条にいう〈極東における国際の平和及び安全の維持〉との関連で,日本の〈防衛問題〉の一環として,その範囲が論議の対象とされてきた。日本政府の1960年2月以来の公式見解では〈大体において,フィリピン以北並びに日本及びその周辺地域であって,韓国及び中華民国(台湾)の支配下にある地域も含む〉とされている。しかし政府の同じ国会答弁では,アメリカ軍の行動範囲は,この地域に加えられる〈攻撃または脅威の性質いかん〉によっては〈必ずしも前述した区域に局限されるわけではない〉ともされており,近年のシーレーン防衛の問題とも関連して,その範囲は拡大される傾向にある。
→日米安全保障条約
執筆者:竹田 英一
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Far Eastの訳語。太平洋に臨むアジア東部の地域。ヨーロッパからみて、もっとも東方にある地域という意味。狭義では、日本、朝鮮半島、シベリア東部、中国の範囲をさし、広義では、これに東南アジア、南アジア、ロシア連邦東部を含めてよぶこともあるが、近東、中東などと同様、漠然と用いられる場合が多い。
なお、日米安全保障条約第6条に、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」アメリカ軍は日本での施設・区域を使用しうるとされており、わが国のいわゆる防衛問題において、この「極東」の範囲が論議の対象となってきた。この問題に関しては「日米安全保障条約」の項を参照されたい。
[青木千枝子]
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