極東(読み)キョクトウ(その他表記)Far East

翻訳|Far East

デジタル大辞泉 「極東」の意味・読み・例文・類語

きょく‐とう【極東】

東の果て。
ヨーロッパから見て、最も東方にある、日本中国朝鮮半島・シベリア東部の称。

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精選版 日本国語大辞典 「極東」の意味・読み・例文・類語

きょく‐とう【極東】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 東方のはて。〔広益熟字典(1874)〕
    1. [初出の実例]「日本は世界極東(キョクトウ)に偏在せし為に」(出典:戦後の文学(1895)〈内田魯庵〉)
  2. [ 2 ] ( [英語] Far East の訳語 ) 西欧諸国から見て、アジアの最も東方の地域の称。東アジア(日本、中国など)、シベリア最東部の地域。
    1. [初出の実例]「更に極東に於ける露西亜を見るときは、啻に列国の同類に非るのみならず、寧ろその共敵たるを見る」(出典:列国の共敵(1904)〈須崎黙堂〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「極東」の意味・わかりやすい解説

極東 (きょくとう)
Far East

東アジア諸国およびその周辺地域の総称で,一般には日本,中国,朝鮮モンゴル東シベリアなどを指すが,ときには東南アジアまでも含めることがある。もともとこの言葉はヨーロッパからみて東洋の最も遠い地方を意味し,〈近東〉〈中東〉などと同じく確定した地理的範囲を示すものではない。16世紀におけるポルトガル人のインド,中国,日本等への航海以後,漠然と東アジア地域を意味する〈極東〉の概念が生まれ,オランダ,イギリス,フランス諸国の東洋進出によってこの言葉はヨーロッパでは一般的な用語となった。しかしアメリカからみるとき,これは適切な用語ではなく,とくに第2次大戦後は交通手段の革命によって距離感が薄れ,またこの言葉のもつ西欧中心の帝国主義的な響きのゆえに,今日では一般にはしだいに使用されなくなっている。
極東地方
執筆者: 日本では日米安全保障条約第6条にいう〈極東における国際の平和及び安全の維持〉との関連で,日本の〈防衛問題〉の一環として,その範囲が論議の対象とされてきた。日本政府の1960年2月以来の公式見解では〈大体において,フィリピン以北並びに日本及びその周辺地域であって,韓国及び中華民国(台湾)の支配下にある地域も含む〉とされている。しかし政府の同じ国会答弁では,アメリカ軍の行動範囲は,この地域に加えられる〈攻撃または脅威の性質いかん〉によっては〈必ずしも前述した区域に局限されるわけではない〉ともされており,近年のシーレーン防衛の問題とも関連して,その範囲は拡大される傾向にある。
日米安全保障条約
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「極東」の意味・わかりやすい解説

極東
きょくとう

Far Eastの訳語。太平洋に臨むアジア東部の地域。ヨーロッパからみて、もっとも東方にある地域という意味。狭義では、日本、朝鮮半島、シベリア東部、中国の範囲をさし、広義では、これに東南アジア、南アジア、ロシア連邦東部を含めてよぶこともあるが、近東、中東などと同様、漠然と用いられる場合が多い。

 なお、日米安全保障条約第6条に、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」アメリカ軍は日本での施設・区域を使用しうるとされており、わが国のいわゆる防衛問題において、この「極東」の範囲が論議の対象となってきた。この問題に関しては「日米安全保障条約」の項を参照されたい。

[青木千枝子]

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百科事典マイペディア 「極東」の意味・わかりやすい解説

極東【きょくとう】

Far Eastの訳語。歴史的に,ヨーロッパからみて近い東洋である近東のさらに東方の地域をさした呼称で,近東や中東と同様,明確な地理的区分ではない。しかし現在では東アジアの国々をさして使われる。日本,中国,韓国,朝鮮,モンゴル,シベリア東部が含まれるが,東南アジアについては見解が異なる。
→関連項目アジア近東

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普及版 字通 「極東」の読み・字形・画数・意味

【極東】きよくとう

東の果て。

字通「極」の項目を見る

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